会議録全文
 

3 平成八年九月定例会(平成八年十月一日質問)

・宮城県総合計画について
   (世論の反映・進行管理・効果分析・大型施設運営管理費・人員配置)
・個人情報保護条例と情報公開について
・知事の専決処分行使について

   [答弁] 知 事  浅野史郎君   
        教育長  鈴鴨清美君


    〔四番 秋葉賢也君登壇〕
◆四番(秋葉賢也君) 我が国の施策の総合的かつ基本的な計画であり、国土づくりの指針となる全国総合開発計画が国土総合開発法に基づいて策定されたのは、ちょうど私が生まれた昭和三十七年のときでした。以来一貫して国土の均衡ある発展を目標に掲げ、今日まで四次にわたって全総が作成されてまいりましたが、新幹線や高規格幹線道路などの社会資本整備などにおいては一定の成果が見られるものの、いまだ目標達成にはほど遠い状況にあります。
 一方、本県におきましては、宮城県経済長期計画など個別的な長短期計画はあったものの、総合的な長期の基本計画が本格的に策定されるようになったのは、昭和四十二年の県勢発展計画が初めてではなかったかと存じます。そして、長期総合計画立案の重要性から、二年後の昭和四十四年には自治法が改正され、市町村においても地域総合計画たる基本構想の設定が義務づけられてもきました。その後、県では、昭和四十七年に宮城県長期総合計画、昭和五十三年には宮域県新長期総合計画、六十一年には第三次宮城県長期総合計画、そして平成五年には現在の宮城県総合計画が策定されてまいりました。こうした総合計画は、社会情勢の変化や国の新たな全総の策定、また時の知事の政治的な判断が大きく影響する形で、五年から八年ごとに目標年次をかなり前倒しして見直されてまいりました。国からの機関委任事務が多く、また国の補助金がないと事業の遂行が難しい三割自冶の実態のため、県の政策立案の自由度は余り大きいとは言えず、自前の施策より国の事務の実施が多くを占めるという制約はあるものの、総合計画は、まさに県の行財政運営の基本であり、施策や事業を進める上での基本となるものであります。同時に、県民に対して、将来の宮城県づくりの基本的な方向と各種の施策などを明らかにしながら、国や市町村に対しては、本計画に沿ってそれぞれの施策や事業が推進されるよう、要望、誘導などの働きかけを行っていくものであります。
 今の総合計画は、平成五年度を初年度とし、平成十七年を目標年次とする十三カ年計画であり、基準年次は、平成二年度になっております。総合計画審議会や市町村懇談会の開催、各種公聴活動の実施など、実質的には約四年間をかけて策定作業が行われてまいりました。森と海と人の宇宙論、コスモロジーというタイトルのもとに、地球規模の視点から、みずからの地域の持つ価値に目覚め、個性豊かな普遍性のある地域づくりを主眼としており、これまでの総合計画と比較いたしますと、格段レベルの高いものになってきていると認織いたしておりまず。しかしながら、他方では、計画策定当時は県税収人が過去最高の約二千五百億円というバブル経済の絶頂期でもあり、大型のプロジェクト事業が数多く盛り込まれております。
 社会経済情勢が著しく変化し、長引く景気低迷の中で既に厳しい財政運営に陥っており、更に、来年には五全総の策定も予定されている今日、そろそろ見直しの作業に着手する時期を迎えているものと考えます。また、日本一の福祉先進県づくりを目指す知事の具体的な施策や、いわゆる顔が見えないという批判もよく耳にいたします。
 現計画策定から四年目を迎え、こうした観点から熟慮した場合、私は、来年平成九年度を基準年次とした新たな総合計画の策定に着手し、平成十二年度、西暦二〇〇〇年を初年度とし、平成二十二年、二〇一〇年を目標年次とする十一カ年計画の浅野県政らしい総合計画を作成し、新世紀初頭の宮城県のあるべき姿を再構築すべきだと考えますが、初めに知事の率直なお考えを、具体的なその根拠とともにお聞かせくださいませ。
 御承知のとおり、総合計画は、その効果的な推進を図るため、三カ年ごとに実施計画を別途策定しながら進行管理を行っておりますが、ことしは第二期目の実施計画の初年度に当たります。森と海と人の宇宙論という一期目のキャッチフレーズから、夢航路未来号に変わり、計画総事業費額も二兆七千億から三兆円強となり、重点施策にも多少の変化がうかがえます。この実施計画の策定作業こそ、総合計画の優先順位を示す上で実質的には重要な意味があり、以下、実施計画の策定段階でのその進行管理、評価に関して幾つかの問題点を指摘しながら、知事の御所見をお伺いいたします。
 まず、実施計画の策定過程において、議会を初め各種団体などの要求が可能な限り盛り込まれるのは当然でありますが、反面、県民の参画が十分に果たされていない面があります。前述しましたように、総合計画の策定においては、審議会や懇談会などを設置しながらヒアリングが行われますが、実施計画では、各部局内での絞り込み作業のみが中心となり、重点施策の優先順位の決定に県民が直接参画できる機会を別途ビルドインさせるべきだと思います。現在、実施計画の事業区分は、日本一の福祉先進県づくりなどの六つに類型されておりますが、例えばこうした分野別に部会を設けて、世論の集約を二重三重に反映させていくことが必要だと思われますが、いかがでしょうか。
 庁内における稟議制という日常の政策形成や各部局原案の積み上げを基礎につくられる計画の中に、県民のニーズがストレートに反映し伝わっていく機会を保障していくことは、今日の行政需要の多様化に積極的にこたえていこうとするものであり、公平で開かれた県政を掲げる知事の姿勢を具体的に示すことになると存じます。
 次に、実施計画の進行管理、評価のあり方についてであります。
 これは実施計画に限らず、防災計画や環境基本計画など、すべての計画に共通して当てはまることですが、計画と実績、予算と決算、費用と効果などの隔たりをどのように評価し、是正していくのかという問題に対して、そうした機能の強化を図る必要がある点であります。計画の事中考査や事後考査の中で、これまでどのような工夫や改善を実施してきたのか、お伺いをいたします。
 また、自治法二百三十三条五項の規定により、実施計画に準拠して毎年発表されております「県政の成果」には、事業概要、事業箇所、主な個別事業の事業費について掲載されておりますが、文字どおりの成果ないしは効果についての言及に乏しく、本当に県政の成果を具現しているとは思えません。したがって、とりわけ費用対効果の観点から見た分析の記述を追加掲載していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 同時に、総合計画や実施計画の進捗状況をわかりやすく明らかにしていくことも肝要であります。昨年の六月議会において、私は、事業の進捗状況が広く県民にも一目で理解できるようなパンフレットの必要性を提案いたしましたが、先月発行された「県政推進の方向と成果」の冊子の中に早速盛り込んでいただきまして、深く感謝を申し上げます。主要事業の選定や進捗度のあらわし方など困難な点も多分にあったかと存じますが、三段階での評価やあるいは写真を多用するなど、よく工夫されており、夢航路未来号の航海地点が県民にとってかなり把握しやすくなったものと確信、評価いたしております。これを契機に、今後更に衆知を集め、より洗練されたものにし、県民の理解と参画に供していくことを念じております。
 次に、実施計画の戦略プロジェクト構想の中の大型ハード事業における完成後の運営管理費と人員配置の二点についてお伺いいたします。
 申すまでもなく公の施設は、住民の福祉を増進する目的のためにつくられるわけですが、これらコスト負担の増大は、すなわち県民負担の増大を意味し、かえって住民の福祉の増進を損なうという危険性につながることをしっかりと認織すべきだと思います。そして、半永久的に使用されるという観点から考えますと、個々の事業内容や総事業費がどうなのかということにも増して、毎年の運営管理費や人員配置が事業策定段階でどの程度見込まれるのかが、事業決定に際し極めて重要な要素になってまいります。施設の運営形態にもよりますが、これらは毎年県予算の中から確実に追加負担されていくわけであります。しかも、公の施設というのは、たとえそれがどんなものであれ、ないよりあった方がよいという感覚が我々県民の偽らざる心境でもあるため、完成後に要する運営管理費というコスト負担が、真に県民の受益に見合うものなのかどうかを十分推量、分析することが求められます。
 しかしながら、例えば現在整備中の宮城県総合運動公園は、すべてが完成すると、十億円の運営管理費が試算されているという御答弁がさきの議会でありましたが、その根拠が必ずしも明確ではありません。ここで逐一具体例を申し上げる時間的余裕はありませんが、今後はプロジェクト事業計画の中にあらかじめきちんと運営管理費の見込みを算出した数値を盛り込んで提出していただきたいと存じますが、いかがでありましょうか。
 加えて、人員配置が何人必要になるかという点も重要であります。県職員数を一定とした場合、運営を全面的に委託しない限り、施設が完成するたびに県職員の配置が必要となり、全体の適正配置に支障を来すことが考えられます。自治省から示されております第五次定員モデルによれば、現在の本県の一般行政職五千八百二十四人という人員は、既に六十人が定員オーバーしているという指摘を受けている状況であり、更には行政改革の推進という縛りもあるため、必要に応じてふやしていくことは至難であります。とりわけ来年開学予定の宮城大学でも、百三十人の教職員のうち、事務局だけでも三十人前後の職員が必要になると伺っておりますが、このような課題に対し知事はどう対処していくおつもりなのか、お考えをお伺いいたします。
 全国的にも珍しい事業構想学部を創設しようという我が県にあって、まさに宮城県総合計画や県行財政運営こそが、その最大の手本にならなければならないことを肝に銘じつつ、次の質問に移ります。
 個人情報保護条例と情報公開についてお伺いをいたします。
 今議会に提案されております議第九十五号議案、個人情報保護条例は、個人情報の適正な取り扱いの確保に関し必要な事項を定めるとともに、県の機関が保有する個人情報の開示や訂正、取り扱い是正を求める権利を定めており、大変時宜を得た意義深い条例案だと評価いたしております。とりわけ平成二年に制定された情報公開条例では、個人情報についてその公開が適用除外とされてきたこともあり、自己を本人とする個人情報の開示請求権などが明文化されましたことは、情報公開の進展の必要性という時代潮流にも符合するものであります。
 しかしながら、議決の可否を判断するに当たって、この条例案の条文やこの制度の運用基準について疑問に思う点などがありますので、以下、知事にお伺いいたします。
 まず、条文に関してでありますが、第二条二号の実施機関の中になぜ議会が含まれていないのかであります。情報公開条例においても議会は対象外とされてきましたが、来年の四月以降の公開に向けて、議会内でもほぼ合意が得られており、この条例においても、ほかの自治体にも見られるように、当初から議会も盛り込むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、第十四条第一項において、県の職員又は職員であった者に係る人事、給与、福利厚生などに関する個人情報を開示請求の対象外としたのには、どのような理由があるのでしょうか。
 個人情報保護条例は、既に各市町村はもとより都道府県レベルでも十六の自治体で制定されておりますが、これらの中にはこうした規定を設けていないところもありますので、納得のいく回答をお示しくださいませ。
 更に、第十四条第四項において開示しないことができるとした二号の規定、すなわち個人の指導、評価、選考、判定、診断などに関する情報について、事由つきで非開示事項にしたのはなぜなのか、その理由をお伺いいたしますとともに、具体的にはどのようなケースを想定されてのことなのか詳しくお聞かせ願います。
 第三節では、情報公開条例と同様に救済措置などが定められておりますが、この諮問に当たっては、成否などを判断する個人情報保護審査会の五人以内という人選が極めて重要になります。知事は、任命権者としてどのような学織経験者を任命するおつもりなのか、その性格づけを主眼にお示しください。
 次に、この制度の運用基準についてお伺いをいたしますが、まず、この制度を適正かつ統一的に運用するためには、その基準を作成することが必要だと存じます。来年四月からの施行に向けて、現在どの程度まで運用基準が作成されているのか、お伺いをいたします。
 また、具体的に次のような開示請求がなされた場合は、開示あるいは部分開示になるのか、非開示になるのか、お尋ねをいたします。一つ、県立高等学校入学者選抜学力試験の科目別得点と総合得点及び採点された答案用紙について、二つ、県職員採用上級、中級、初級試験における総合得点及び順位についてであります。これまで県では、合格採用者に限ってはその申し出があれば開示してきたようでありますが、不合格者についても今後は開示されるのかどうか、お伺いをいたします。三つ、例えば行政書士試験や調理師試験などの科目別得点についてはいかがでしょうか。
 御参考までに、平成二年に既に個人情報保護条例を制定している神奈川県などでは、これらは三つとも、毎年、百件から千件、高校などの問題については一万五千件を超える膨大な開示請求があり、それらすべてについて全面開示をしているようであります。
 この件の質問の最後に、中学校などで作成される調査書いわゆる内申書やそのもとになる指導要録の開示についてお伺いをいたします。
 内申書などの開示をめぐる訴訟を含めた動きは全国的に顕著であり、世論の関心にも高いものがあります。先週の二十七日には、大阪の女性が中学校の内申書の全面開示を求めた訴訟の控訴審判決が大阪高裁であり、一審に続き、総合所見を除き開示すベきだったとしながらも、全面開示は認められませんでした。これまでの裁判所の判決でほぼ共通しているのは、内申書と指導要録でも多少異なってはいるものの、各教科の学習の記録などは部分開示を認めるが、総合所見や行動の記録などについては非開示が妥当であるとするものが多いように思われます。また、各地教育委員会での決定も同様の傾向がうかがえます。そして、全面開示を実施している自治体でも、卒業生のみに限定していたり、その対応ぶりは実にさまざまであり、まさに試行錯誤のような状態にあると言えます。
 開示賛成派は、例えば、本人や親に秘匿することによって、評価の公正、客観性が担保されるという考え方は、基本的に誤りである。あるいは学校の評価を親や子供に隠して成り立つ信頼関係という観念には不条理さがあるなどという意見が強く存在し、一方、開示慎重派ないしは反対派は、本人の意欲や自尊心を傷つけたりするなど、教育上好ましくない影響を及ぼしたり、学校側と本人、保護者との信頼関係を損なう可能性がある。あるいはまた、開示を前提にすれば、記載内容が形骸化、形式化するおそれがあるといったような意見に集約されますように、賛否両論であります。
 本県においては、条例施行後こうした開示請求があった場合、どのように対応されるお考えなのか、知事御自身の率直な考え方についてお尋ねをいたします。
 また、判断の是非は、最終的には教育委員会の権限であることから、教育長にもあわせてお伺いをいたします。
 条例が今議会で可決されれば、半年後には施行されるわけであり、待ったなしの判断が迫られております。ぜひ踏み込んだお考えをお示しくださいませ。
 最後に、知事の専決処分の行使についてお尋ねいたします。
 改めて申すまでもなく、地方自治法第百七十九条の長の専決処分は、本来、議会の権限に属する事項を長がかわって行うことができるとするものであり、次の第百八十条において、議会があらかじめ知事に委任している専決処分とは、明らかに性格が異なり、一線を画するものであります。したがって、百七十九条の場合は、あくまでも次の四つの場合についてのみ認められているものであります。すなわち、一、議会が成立しないとき、二、会議を開くことができないとき、三、長において議会を招集する暇がないと認められるとき、四、議会において議決すべき事件を議決しないとき、以上の四つのケースに限定されているのであります。しかも、長は、専決処分後の臨時議会を含む最初の会議で議会に報告し、その承認を求めなければならないとされております。過去の行政実例によれば、専決処分が議会の承認を得られなかった場合でも、法律上処分の効力には影響がないとされておりますが、これは行政の安定性を優先させた結果に過ぎず、知事の政治的な責任は重く問われなければなりません。
 これまで本議会において専決処分が不承認されたことの例は聞き及んでおりませんが、平成三年から七年までのここ五年間だけで、百七十九条の規定による専決処分は、実に二十件にも達しております。問題は、これら年平均四回に及ぶ専決処分が、さきに述べた四つの場合に本当に該当していたと言えるのかどうかであります。
 例えば今議会においても、議第百十九号議案、特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例の専決処分の承認を求める議案が提出されておりますが、同様の議案は、昨年の九月議会に続いて二度目でもあり、私には、議会を招集する暇がなかったなどとはとても思えないのであります。したがって、事実上、議会の機能の軽視につながる専決処分の行使には慎重に対応することを求めるものであります。
 去る八月二十一日の総務企画委員会において、私は、専決処分でならなければならない理由を総務部長にただしたところ、全体の処分について知事を含めて九月分から同時に実施したいのでという回答でした。この趣旨は理解できますが、だからといって、八月二十一日の各常任委員会開催日を含めて三十日までの間に臨時議会を招集することができない理由にはならないと思います。
 御承知のとおり、議会の招集権限はあくまで知事に属している専権事項であり、議長やあるいは我々議員にはその請求権しか認められておりません。
 そこで、翌八月二十二日の旅費問題の特別委員会のときに、臨時議会の開催を求めた同僚議員の質問に対して、知事は、条例改正のために臨時議会を招集することも可能ではあるが、そのためだけと考えると、今回専決処分で措置をとらせていただきたいと述べております。私は、反対に、知事の減給処分という極めて重要な条例の改正であり、県民の注目度も高く、甘過ぎる、あるいは妥当だとの賛否両論が白熱する中、しかも二年連続であるという背景から考えましても、臨時会を招集し、しっかりと論議することが、議会制民主主義の常道ではなかったかと考えます。
 そこで、お伺いいたします。
 まず、百七十九条に言う長の専決処分について、知事は、これをどのように御認識していらっしゃるのでしょうか。
 また、今回の専決処分は、百七十九条の第一項の規定によるものですが、四つのケースのうち、どのケースに該当するとお考えになったのでしょうか。
 更に、知事は、臨時議会の招集も可能だと認めていながら、なぜ結果としてそのとおりに招集しなかったのでしょうか。
 そしてまた、同条第一項の規定を適用し得るためには、法解釈上、具体的事情のもとに客観的根拠に基づかなければならないとされておりますが、私は、日程的にも、そして内容的にも、臨時議会を招集しないという判断理由にはならないと考えますが、今回はどのような具体的事情があり、どのような客観的根拠に基づいて適用を判断されたのか、お示しいただきたいと存じます。
 さきに述べたように、本来、知事の専決処分については、自治法第百八十条の規定によって、議会の委任による専決処分が定められており、本県でも一件百万円未満の損害賠償額の決定などの軽易な事項に限って五つの指定事項を定め、行政事務の便宜を図るために議会の権限委任を知事に認めており、これはほかの都道府県と比較いたしましても、おおむね妥当な範囲であります。平成三年から七年までの五年間で二十三件の専決処分が報告されてきましたが、これら議会の委任によるもの以外の専決処分権行使については、今後慎重に判断されることを強く求めまして、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(高橋健輔君) 知事浅野史郎君。
    〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 秋葉賢也議員の御質問にお答えをいたします。
 まず初めに、宮城県総合計画についてお答えをいたします。
 まず、新たな総合計画の策定に着手してはどうかという御質問でございます。
 現在の総合計画は、社会経済情勢が大きく変化する中で、国際化、高齢化、新たな国土構造の形成といった、そういった社会潮流をいわば先取りした計画になっておるところでございます。したがって、みやぎの福祉・夢プランなど、県政において個別に必要とされる構想、計画づくりをあわせて行いながらも、当面、今後の社会経済情勢の変化を踏まえつつ、この計画に示す望ましい宮城の将来像の実現に向け、「県政推進の方向」に示した方針に基づき、各種プロジェクトを積極的に推進してまいりたいと考えております。
 なお、国において、新しい全国総合開発計画や東北開発促進計画の策定が進められているところでありますので、こういった計画を踏まえた将来の県土づくりの方向についても今後研究してまいりたいと考えております。
 次に、実施計画策定への県民の参加についてでございます。
 実施計画の策定に際しては、日ごろ寄せられております県民の皆様からの御意見、御要望などを十分に考慮に入れたいと考えております。また、県政モニターなど各種公聴制度や、各部局に県政推進のために設けられた審議会や委員会などの御意見をも踏まえながら、計画の策定作業を行っておるところでございます。
 また、事業選定に当たっても、社会経済情勢の変化を踏まえ、各種プロジェクトの成熟度を見きわめながら行っておるところでございます。各種プロジェクトの推進に際しては、県土づくりは、県民と行政とによる共同作品づくりであるといった認識に立って、県民ニーズの把握と県民への情報提供の充実を図りながら、今後とも住民参加型の県土づくりを進めてまいりたいと考えております。
 次に、総合計画の事中、事後考査についての御質問でございます。
 県では、総合計画の的確な進行管理を行うために、三カ年を単位とする実施計画を策定するなど、その効果的な推進に努めているところであります。特に重要なプロジェクトについては、庁議や政策会議の場において、三役や関係部局長により社会経済情勢の変化や財政状況に対応をして進捗状況や効果などの調整を行うために、毎年度重点推進事業に指定をし、施策の総合的かつ効果的な展開に努めているところであります。現在のところ、計画に盛り込まれた各種プロジェクトはおおむね順調に推進されているところであります。財政状況が厳しい中ではありますが、今後とも的確な進行管理に配慮し、総合計画に示す将来の宮城像の実現に向け、各種事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、いわゆる「県政の成果」、この「県政の成果」を公表する際に、とりわけ費用対効果の観点からの分析を掲載すべきであるとの御提言がございました。
 一般に行政の事業分野は、民間企業とは異なっておりまして、県民の福祉向上という性格を持っております。そこで、費用対効果で一概に律し切れるものではないのではないかと考えております。したがって、このたび公表いたしました「県政推進の方向と成果」では、事業の進捗状況を、構想─計画段階、事業指導段階、事業継続段階の三段階に整理をして、理解しやすくなるように工夫をしたところでございます。
 今後とも、更に県民の皆様にわかりやすい公表の方法について検討を続けてまいりたいと考えております。
 次に、プロジェクト事業計画の中にあらかじめ運営管理費の見込み数値を盛り込むべきではないかとの御質問にお答えをいたします。
 各種事業の円滑な運用を図るためにも、運営管理費については、事前に検討をしておく必要があるとは考えております。しかし、事前に運営管理費について正確に出すというのは大変難しい状況でございまして、これまで必ずしも計画段階における運営管理費を正確にはじいた上での検討が十分に行われていたといえば、そうでない面もあるわけでございます。具体のプロジェクトの基本構想や基本計画を策定する過程において、管理運営費についても今後十分に検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、プロジェクト事業に係る人員配置についての御質問でございます。
 例えば宮城大学が開学すれば、新しい人員配置が必要になってまいります。その人員配置については、現在行政改革を推進している時期でもあることを十分に踏まえ、各部局単位で現行定数を自主的に削減するいわゆる一%シーリング方式、スクラップ・アンド・ビルド方式、あるいはサンセット方式といったさまざまな方策を講じながら、必要人員を確保をするなど、職員数の増加をできる限り抑制しながら、適正な職員配置に努めてまいりたいと考えております。
 次に、大きな二番目の御質問事項であります個人情報保護条例と情報公開についてお答えをいたします。
 まず初めに、実施機関になぜ議会が含まれていないのかという点でございます。
 個人情報保護条例は、情報公開条例とは趣旨や目的を異にするものではありますが、公文書を開示するという点については、制度的に共通するものであります。したがって、今回の個人情報保護条例案においても、情報公開条例との整合性を図り、議会を実施機関としなかったものでございます。
 次に、県の職員又は職員であった者に係る人事、給与、福利厚生などに関する個人情報を開示請求の対象外としたのはなぜかとの御質問でございます。
 今挙げましたような情報は、県民を対象とした行政事務を遂行するために保有する種々の個人情報とは異なり、県庁組織内部の管理に属する情報でございます。こういった内部管理情報は、従来から十分な保護措置と適正な取り扱いを行っているところでございまして、開示請求の対象とする必要はないというふうに考えておるところでございます。
 次に、個人の指導、評価、選考、判定、診断などに関する情報を非開示事項とした理由は何かとの御質問でございます。
 県には、面接関係書類、表彰推薦資料といったように、個人に対する評価や判定などに関する情報が数多く収集され、保管されております。こういった情報の中には、開示することによって、本人の自尊心を傷つけるとか、向上心を失わせるということになったり、その後、その方に対する相談や指導の効果を上げることが大変に難しくなるというような情報が含まれております。そういったことから、事務事業に支障を生ずる場合もあることから、非開示事項としたものでございます。
 なお、こういった指導、評価などに関する情報を開示するかどうかについては、事務事業の支障が生ずるかどうかによって、個別に判断することとなります。
 次に、個人情報保護審査会委員の構成についてでございます。
 個人情報保護審査会は、不服申し立てに関する事項や民間部門の個人情報の取り扱いに関する事項などを審議する重要な役割を持っております。
 人選については、既に同様の条例を施行している都道府県の状況を見ますと、教育関係の事項についての審議が多くなっておりますので、こういった要請にこたえられる人選を行いたいと考えております。具体的には、法律学者、弁護士、事業者団体の有識者及び教育学者という構成を予定しておるところでございます。
 次に、制度の運用基準の作成状況についてでございます。
 これについては、条例案の作成と並行して作業を進めてきておるところでございます。
 なお、具体的な運用についての細部の詰めがいまだ残っておりますので、更に今後検討を加えてまいりたいと考えております。
 次に、県の機関において実施する各種の試験結果の開示についてでございます。
 現在、それぞれの実施機関において検討を進めておるところでございます。具体的には、得点により合否が判定される場合は原則として得点を、順位により合否が判定される場合は原則として順位を開示する方向で検討をしておりますが、各試験ごとの取り扱いについては、平成九年四月の施行日までに決定をしたいと考えております。
 次に、中学校などで作成の内申書や、そのもとになります指導要録の開示についてでございます。
 これについては、実施機関が教育委員会ということになりますので、教育委員会において、条例の趣旨に従って適正な判断がなされるものと考えております。
 なお、この点につきましては後ほど教育長からも答弁をいたします。
 次に、知事の専決処分の行使についての御質問でございます。
 地方自治法第百七十九条の規定によります専決処分は、議会において議決又は決定すべき事案に関して、議会を招集する暇がない場合などに、補充的手段として地方公共団体の長に認められているものであるということを認識をしております。
 今回の専決処分についてでございますが、知事の給料を減額するための条例改正については、このたびの一連の不祥事がもたらした社会的な反響の大きさを考慮した場合に、一般職員の処分と同時が適当であって、かつ県民に対するできる限りの償いを速やかに行うことが必要であるというふうに認識しておりましたので、議会を招集する暇がないときに行うことが認められている専決処分を実施することにしたものでございます。
 なお、一般職員の処分が過去に例を見ないほどの大規模なものになりました。その決定に予想を超える時間を要しましたことから、専決処分の実施も八月二十九日というふうに後にずれ込んだものでございます。
 いずれにいたしましても、条例の改正は、議会の議決を得ることが基本でありますので、御指摘がありましたように、今後とも専決処分の行使に当たりましては、慎重に対応してまいりたいと考えております。
 私からは、以上でございます。
○議長(高橋健輔君) 教育長鈴鴨清美君。
    〔教育長 鈴鴨清美君登壇〕
◎教育長(鈴鴨清美君) 秋葉議員の御質問にお答えをいたします。
 中学校等で作成する内申書や、そのもとになる指導要録の開示についてでございますが、指導要録につきましては、本人に開示することとした場合、評価の公正さ、客観性の確保、本人に対する教育上の影響などの面で問題が生じることや、指導要録の形骸化につながることが懸念されるという文部省の見解を踏まえまして、従来から本人への開示を前提としない取り扱いをし、あわせて内申書につきましても、高等学校入学者選抜のために用いられる資料であり、その作成に当たっては、評価が公正かつ客観的に行われるよう、本人への開示を前提としない取り扱いをしてまいったところでございます。
 教育委員会といたしましては、来年四月実施予定の個人情報保護条例制定の趣旨に従いまして、今後指導要録や内申書について、どの範囲まで開示が可能であるか、市町村教育委員会や中学校、高等学校の意見も踏まえながら、条例の施行日までには結論を出してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(高橋健輔君) 四番秋葉賢也君。
◆四番(秋葉賢也君) 一点だけ御質問させていただきたいと存じます。
 今回議案として、個人情報保護条例が出されてきて、そして我々議会でこれを議決しなければいけないという大変大事な場面なわけであります。情報公開条例のときもそうでありましたけれども、実際その議案を我々が議論をするときに何が一番問題になるのかと申しますと、その運用基準がどうなのかということが一番大事になってまいるわけであります。今後この条例が四月からどのように運用されるのかということをしっかりとお伺いをして、そして可否を判断するというのが、我々議員の責任であります。そういう意味で、今回私は、できるだけ今現在の運用基準についての状況をお尋ねしたわけでございますが、内申書等に係る部分については、教育長からの御答弁もありました。現況ではやむを得ない面もあろうかと思いますが、知事部局等に係る部分の運用基準について、現在それぞれの部局で検討中であるという回答では、この議案に対しての可否を判断する材料にはならないと思います。したがいまして、知事にもう少し詳しく運用基準について御説明をいただきたいと思うのであります。
 やはり、本来ならば、この議案がこの九月議会で出てきた時点で、運用基準についても九九%ができていなければおかしいと思うんです。もし、運用基準が半分も満たしていない、あるいはまだ検討中であるというのであれば、この条例の議案提出を十二月や二月に延ばしていくということも考えなければならない問題ではないかと思いますので、ひとつお考えをお聞かせいただければと存じます。
○議長(高橋健輔君) 知事浅野史郎君。
    〔知事 浅野史郎君登壇〕
◎知事(浅野史郎君) 秋葉議員の再質問にお答えをしたいと思います。
 同様の議論は、一般論で言って、国会における法律の審議のときにもあるわけでございまして、法律の中にはかなり多くの部分が政令又は省令にゆだねられておる。そして、法律の成立から施行までの間にその政令を定める。法律成立以後六カ月以内というようなことを法律に明記をしているものもございます。
 したがって、この条例の場合もそうでございますけれども、基本的に今回我々が提案しております個人情報保護条例について、基本的なことについては条例の中に全部入っているわけでございまして、そのことについてのまず可否というものを御審議いただき、その上で、かなり私どもの検討というのも進んではおりますけれども、細部については若干時間をいただき、公正を期したいということで、その分の時間を施行までにいただきたいということで御提案をしているところでございますので、その点についてぜひ御理解を賜りたいと思っております。